提案の中身は固まっているのに、資料づくりで前日の夜が消える。構成に悩み、パワーポイントのレイアウトと格闘し、グラフの色を整える——営業をしたことがある人なら、誰もが心当たりのある時間ではないでしょうか。
「生成AIでできること」シリーズ最終回は、提案資料の作成です。ここは他の回と少し違い、「AIに全部任せる」ではなく「AIと分業する」が正解の領域です。
ビフォー: 考える時間より、作る時間が長い
提案資料づくりを分解すると、①顧客の課題を理解する ②提案の筋を立てる ③構成に落とす ④スライドを作り込む、の4段階です。本来いちばん価値があるのは①②なのに、実際の時間の7〜8割は③④に消えます。しかも③④は深夜作業になりがちで、肝心の①②が浅いまま提案日を迎える——という本末転倒が起こります。
分業の設計: 人は筋を、AIは形を
私たちの分業はシンプルです。人間は「顧客理解と提案の筋」に集中し、AIには「構成案・下書き・デザイン」を任せます。指示文の例です。
〇〇社への提案資料のたたき台を作ってください。
・先方の課題: (ヒアリングメモを渡す)
・提案の筋: 現状分析→問題の構造→解決策2案→推奨案と体制→費用
・トーンは誠実で簡潔に。1ページ1メッセージで15枚以内
・数字はこの資料(添付)のものだけを使い、推測の数字は入れないたたき台が20分で出てくると、人間の仕事は「ゼロから作る」から「筋を磨く」に変わります。構成を入れ替え、顧客固有の文脈を足し、言葉を尖らせる。2時間かかっていた資料作成が20分になるというのは、この分業の結果です。
つまずきポイントと対処法
- 丸投げすると平凡になる: 提案の筋まで任せると、どこかで見たような一般論の資料が出てきます。筋(なぜこの顧客に、なぜこの提案か)は人間の仕事として渡さないこと
- 顧客固有の文脈は人が足す: 先方の社長の言葉、現場で見た事実。刺さる提案の核は、AIが知り得ない一次情報にあります
- 数字の出どころを縛る: 「渡した資料の数字だけを使う」と指示し、もっともらしい推測数字が紛れ込むのを防ぎます
シリーズのまとめ——5つの業務に共通すること
5回にわたって、データ分析・リサーチ・転記作業・報告資料・提案資料を見てきました。共通するのは、AIが「作業」を引き受け、人間が「判断と文脈」に集中するという構図です。そしてどの業務も、特別な会社の特別な取り組みではなく、どの会社にもある日常業務です。
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なお、提案資料については実はもう一歩先の変化が始まっています。「そもそもスライドで提案する時代が終わりつつある」という話——次回の記事で書きます。
この記事の要点
- 提案資料は「AIに全部任せる」ではなく分業が正解。人=顧客理解と提案の筋、AI=構成案・下書き・デザイン
- たたき台が20分で出ると、人間の仕事は「ゼロから作る」から「筋を磨く」に変わる
- つまずき対策: 筋は渡さない / 顧客固有の一次情報は人が足す / 使ってよい数字を縛る
- シリーズ共通の構図: AIが作業を、人間が判断と文脈を。すべてどの会社にもある日常業務
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