「売上データは毎月システムから出しているが、眺めて終わっている」「分析はエクセルが得意なあの人に頼りきり」——多くの会社で耳にする光景です。
今回から5回に分けて、生成AI(特にClaude CodeのようなAIエージェント)で実際にできることを、業務別に紹介していきます。第1回はデータ分析です。
ビフォー: 分析は「エクセル職人」の属人技だった
これまで、社内のデータ分析には2つの壁がありました。一つはスキルの壁。ピボットテーブルや関数を使いこなせる人にしか、データから答えを引き出せません。もう一つは時間の壁。関数を組み、グラフを整え、資料にまとめると、簡単な分析でも半日仕事になります。
結果として、データはあるのに意思決定は勘と経験のまま——という状態が続いてきました。
AIに任せると、こうなる
AIエージェントを使うと、データ分析は「日本語で質問する」仕事に変わります。売上データのファイルを指定して、知りたいことをそのまま聞くだけです。
実際の指示文は、たとえばこんな具合です。
このフォルダの売上データ(2024〜2026年)を読み込んで、
・前年同月比で伸びている商品カテゴリの上位5つ
・逆に落ちているカテゴリの上位5つ
・それぞれの要因として考えられる仮説
を、経営会議で使える1枚のレポートにまとめてください。
グラフも付けてください。AIはデータを読み込み、集計プログラムを自分で書いて実行し、グラフを作り、レポートに仕上げるところまで一気にやります。所要時間は数分。しかも「この落ち込みは特定の1店舗の影響では?」と追加で聞けば、その場で掘り下げてくれます。分析が、専門家への依頼から対話に変わるのです。
私たちが支援してきた実感では、10時間かかっていた分析・レポート作成が2時間程度になります。例えば、エクセルの生データだけで400メガバイトあるような巨大な購入明細データ(これは通常スペックのPCであれば開くことさえできないレベルです笑)なども分析をすることが可能です。一般相関分析から重回帰分析などの統計解析、また相関のみならず複数切り口での因果分析などまで従来であればデータに強いコンサルティングファームに数百万円から1千万円などで依頼していたデータ深掘り分析も自分たちでできてしまいます。浮いた時間はそのまま、「で、どうするか」を考える時間に使えます。
つまずきポイントと対処法
実際にやってみると、つまずくのはだいたい次の4つです。
- いきなり分析を指示すると思ったアウトプットにならないことがあります(アウトプットでどんなものが出てくるかわからない、運次第という意味で、ガチャ化と言ってます)。そのためデータや資料をAIに見せて、まずはこのデータセットであればどんな分析ができそうか?の分析設計から始めるのがコツです。納得いく分析設計ができたらいよいよ分析を実行します。
- 数字を鵜呑みにしてしまう: AIも集計を間違えることがあります。合計値など要所の数字は元データと突き合わせる「検算」の習慣を。私たちは重要なレポートでは、AIに自分で検算させる指示も入れています
- 用語の定義がずれる: 「売上」は税込か税別か、「顧客数」は件数か人数か。定義を最初に伝えないと、もっともらしく間違えます。初回に定義メモを渡しておくのがコツです
- 個人情報の扱い: 顧客名簿など個人情報を含むデータは、ガードレールを整えた環境で扱うこと。分析の多くは氏名を伏せたデータでも成立します
まずは手元の1ファイルから
最初から基幹システムと連携する必要はありません。毎月見ているエクセルを1つ渡して、日頃疑問に思っていることを聞いてみる。それだけで「うちのデータはこんなことまで分かるのか」という発見があるはずです。
次回は、市場調査・競合調査などのリサーチ編です。
AI導入・AI研修のご相談はこちらからどうぞ。
この記事の要点
- AIエージェントでデータ分析は「日本語で質問する」仕事に変わる。集計・グラフ・レポート化まで数分で完了し、追加の掘り下げも対話で可能
- スキルの壁(エクセル職人への依存)と時間の壁(半日仕事)が同時に消える
- つまずきは4つ: いきなり実行せず分析設計から入る / 検算の習慣を持つ / 用語の定義を先に渡す / 個人情報はガードレール内で
- 最初の一歩は、毎月見ているエクセル1つをAIに渡して質問してみること
OhEN Groupでは、熊本・九州を中心にAI導入支援・AI研修を提供しています。